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MUSIC OF ABORIGINAL AUSTRALIA
MUSIC OF ABORIGINAL AUSTRALIA
NO TC HLS-48
Artist/Collecter Aboriginal Theatre Foundation Inc.
Media Type Cassette
Area 中央/北西/東アーネム・ランド、ケープ・ヨーク
Recorded Year 1972年
Label Hibiscus Records
Total Time
Price 1,650 yen
Related Works
ARNHEM LAND POPULAR CLASSICS BAMYILI CORROBOREE -Songs of Djoli Laiwanga DAVID BLANASI TRIBUTE ALBUM 1998-2001 DIDJERIDU MASTER -David Blanasi LES ABORIGENES -Chantes & Danses de l'Australie du Nord SONGS OF BAMYILI -Traditional Aboriginal Music of Australia(featuring Didgeridoo)
TRADITIONAL ABORIGINAL MUSIC -Sounds from the Bush World Music Gala Collection 100 世界民族音楽大集成 オセアニアの音楽II AUSTRALIA -Songs of the Aborigines BORA OF THE PASCOE RIVER SONGS FROM NORTH QUEENSLAND SONGS OF ABORIGINAL AUSTRALIA AND TORRES STRAIT
パプア・ニューギニアで行われた「South Pacific Festival」の際に録音されたライブ音源。クレジットは無いが記録からおそらくデビッド・ブラナシの演奏が収録されている。

■ライナーの解説
■DAVID BLANASI ディスコグラフィー

カセットのライナーには詳細がのっていないため、プレイヤーの名前やそれぞれの詳しい地域などは不明だが、おそらく日本のキング・レコードから発売されていた『World Music Gala Collection 100 世界民族音楽大集成 オセアニアの音楽II』(CD : KING RECORDS)と同じ時期に同じ場所で録音されたものと思われる。というのもこのカセットの録音は「South Pacific Festival of Arts」というフェスティバルの時に行われたライヴ・パフォーマンスを収録したもので、キング・レコードの録音も同じフェスティバルでの録音の抜粋で、当時Djoli LaiwangaとDavid Blanasiはこのフェスティバルに参加するためにパプア・ニューギニアを訪れていたからである。

South Central Arnhem Landとされているトラック1と3はディジュリドゥ・マスター「David Blanasi」とソングマン「Djoli Laiwanga」によるパフォーマンスだと推測される。ライナーでは全9トラックだが、ライナーに載っていない曲が3曲B面に収録されており、全12曲中ディジュリドゥが入っている曲は半分の6曲である。日本をはじめ、海外でもあまり知られていない珍しい音源です。カセットのみ。もともとハイプライス。

なぜかジャケットはダンサーのデビッド・グルピリルと思われる人物がディジュリドゥを吹いている写真が使われている。サウンドからかなりブラナシを思わせるが、デビッド・グルピリルは当時デビッド・ブラナシと共に海外のツアーに頻繁に参加しているので、おそらくここでのディジュリドゥ奏者はブラナシで間違いないだろう。

このカセットにはタイトルだけが表示されており、演奏者の名前やクランなどは不明です。音の響きから感じた聴感上の主観的な感想と、各曲に特徴的な音楽的構造や、楽器の特徴などのレビューだけが掲載されています。レビュー部分でなされている言及は推測の域を超えるものではないという事をご了承下さい。

■ライナーの解説
SIDE A :1. Dance of the Owl(from Southern Arnhem Land)2. A Sequence of Wanam Dances(from Western Cape York Peninsula)3. The Shadow of the Dead(from South Central Arnhem Land)

SIDE B :4. Mother Brolga and her Chick(from North Central Arnhem Land)5. Black Cockatoo(Daag / from North West Northern Territory)6. Butterfly(from North Central Arnhem Land)7. Kangaroo Dance(from Eastern Arnhem Land)8. Feather Dance(from Cape York)9. Fishermens Dance(Unspecified)
※曲名をクリックするとその曲の解説へ飛びます

SIDE A :
1. Dance of the Owl(from Southern Arnhem Land)
ライナーにはないが、おそらくDavid BlanasiとDjoli Laiwangaの演奏。A#くらいのかなり高いピッチのディジュリドゥを使用している。ほぼブラナシの演奏と考えて間違い無いが、もしこれがブラナシだと確定すれば、最も高いピッチのディジュリドゥを演奏している録音になる。

ダンサーが足を踏みならしながら、木製のステージの上を踊るため、要所要所でドシンという音がはいり、曲の中でのダンサーのダイナミックな動きが伝わるようだ。録音の雰囲気はブラナシ唯一のライヴ・アルバム『Les Aborigines-Chantes & Danses de l'Australie du Nord』(CD 1979 : ARION)に非常に似ている。

2. A Sequence of Wanam Dances(from Western Cape York Peninsula)
a. Ironwood Slab(Yuka Awum)
b. Boomerang(Yuk Weenga)
c. Shark(Minh Patan)
d. Frilled-neck Lizard(Minh Tunta)
e. Spearing the Wallaby after a Fight
f. Spirit Dance(Ngangk Thant)
クイーンズランド州のTorres海峡に突き出した半島Cape Yorkの西側、西Cape York湾周辺部のカラバリー(アボリジナルの歌と踊りを指す英語)。この地域には伝統的にディジュリドゥは演奏されない。かなりの人数のダンサーと思われる人々による手拍子と、足踏み、コールの大きな音の隙間から、2-3人のシンガーの同時、もしくは交互に繰り返されるシンプルな同じ歌詞が歌われている。非常にミニマルに歌と踊りの足踏みが繰り返され、最後には激しくブーメランを打ならし、ダンサーも叫び声を上げながら、つめよるような激しい動きをしている。

a〜eにかけて徐々に曲が激しく、速くなっていき、fになるとエンディングらしい非常に落ち着いたゆっくりしたテンポになる。

3. The Shadow of the Dead(from South Central Arnhem Land)
再び、ブラナシとジョリーのセットと思われる。「Dance of the Shadow」(『Les Aborigines』に収録)、「Big Shadow」(『Didjeridu Master』に収録)、「Waiyara-The Shadow」(『Songs of Bamyili』に収録)など「影」をテーマにした曲はジョリー・ライワンガの歌によく見られる。

ディジュリドゥのピッチはFくらいのものに変わっている。大きな舞台での演奏にもかかわらず、かなりリラックスして演奏している雰囲気が伝わって来るブラナシ(と推測される)の余裕のプレイ。歌、踊り、ディジュリドゥがクラップスティックに合わせて、かなりタイトにからみ合っているのがわかる曲の構成がカッチリと決まっているGUNBORGスタイルならではの卓越した演奏である。

SIDE B :
4. Mother Brolga and her Chick(from North Central Arnhem Land)
ディジュリドゥとクラップスティックにおそらく一人のダンサー。最後の部分まではずっと歌はなく、「Koro!」というダンサーによるブロルガ(豪州ヅル)の鳴き声をまねた叫び声がディジュリドゥのリズムに合わせて断続的に聞こえる。一番最後のエンディング部分のみトゥーツが使われる。ソングマンの短いフレーズの歌に合わせてディジュリドゥ奏者はドローンとトゥーツを演奏し、それにダンスもユニゾンしているようだ。特にエンディング部分がおもしろい。

ディジュリドゥの演奏スタイルは、『GOYULAN -The Morning Star』(Cassette 1978 & 82 : AIATSIS)や『DJAMBIDJ -An Aboriginal Song Series from Northern Australia』(Cassette 1981 : AIATSIS)などに見られる北部中央アーネム・ランドの演奏スタイルに類似しており、短いトゥーツ(ホーン・サウンド)をリズミックに曲中で使うのではなく、1秒程の長めのトゥーツをブレイク部分やエンディングで多用している。その他の北部中央アーネム・ランドの録音に比べて、ディジュリドゥの録音レベルが高いので非常に聞きとりやすい。

5. Black Cockatoo(Daag / from North West Northern Territory)
黒いオウムの歌。ディジュリドゥの伴奏の無い、一人のソングマンが自らクラップスティックをたたき、おそらく一人か二人のダンサーが交互にそれにあわせて踊っている。ダンサーが足を踏み鳴らす音を聞くと、彼のステップとソングマンの歌がピッタリと合っている事に気付く。

6. Butterfly(from North Central Arnhem Land)

トラック4と同じグループによる演奏と思われる。ディジュリドゥとクラップスティックのリズムに合わせて、ダンサーが小声で「Kuru!」という声とその合間に「Si-」という声を出し、最後には「Si-」と言っていた部分に問いかけるような短い言葉が発せられ、それに答える形でダンサーが大声で「Kuru!」と叫び返す。

ディジュリドゥの演奏は非常にミニマルで長めのトゥーツを含む短い4拍フレーズ(3+1)を繰り返している。トラック4同様、ソングマンの歌はなく、ディジュリドゥとダンサーの掛け声のみで構成されている珍しい曲。

7. Kangaroo Dance(from Eastern Arnhem Land)
ディジュリドゥの伴奏はなし。大勢の手拍子と掛け声のみで構成されている変わった曲で、この曲でもソングマンの歌を聞くことはできない。

8. Feather Dance(from Cape York)
複数のダンサーと一人もしくは二人のソングマンによる歌に大勢の手拍子とブーメラン・クラップスティック。トラック2と同じグループの演奏と思われる。ステージ上をグルグルと回る複数のダンサーの足を踏みならす音がパンされていて、そのパターンがずーっと繰り返される。ディジュリドゥの伴奏は無い。

9. Fishermens Dance(Unspecified)
クラップスティックに一人のソングマンと一人のダンサーによるパフォーマンス。おそらくトラック5のNorth West Northern Territory地域のグループによる演奏と思われる。

10. Bonus Track 1.
トラック6に収録されているディジュリドゥとクラップスティックのリズムに非常に似ているが、ここではブレイクとエンディングのみにトゥーツが使われている。歌はここでは全く歌われず、ディジュリドゥとクラップスティックの音をバックに静かにゆっくりした動きで踊るダンサーの足をする音が聞かれ、最後には足を踏み鳴らすダイナミックな音が聞こえる。おそらくトラック6と同一の演奏者による演奏と思われる。

ディジュリドゥの演奏スタイルはかなり北東アーネムランドのイダキの演奏方法に近い響き。きれいなトゥーツが印象的である。

11. Bonus Track 2.
ブーメラン・クラップスティックにゆったりした歌の途中から急激に多数のダンサー達が一点に集まるような動きとともに激しい叫び声をあげるダイナミックな曲。ドシドシと響きわたる足音と叫び声がカオティックにまざりあう。おそらくトラック2/8のCape Yorkのグループによるパフォーマンスと思われる。

12. Bonus Track 3.
「Oho-」という長いスラー(段々低くなっていく声)ではじまるディジュリドゥの伴奏をともなった歌。A.P. Elkin教授のカテゴライズしたGUNBORGスタイルにあてはまるが、WANGGAかGUNBORGかの区別はわからない。歌のメロディは他の録音でも聞くことができる有名な曲のようだ。ディジュリドゥ奏者、ソングマン、一人のダンサーという組合せ。

■DAVID BLANASI ディスコグラフィー
・『ARNHEM LAND POPULAR CLASSICS』(CD-R from LP 1961-62 : Wattle Ethnic Series)
・『BAMYILI CORROBOREE -Songs of Djoli Laiwanga』(LP/Cassette 1976 : Grevillea)
・『DAVID BLANASI TRIBUTE ALBUM 1998-2001 / The White Cockatoo Performing Group』(CD 2002 : Big Ban)
・『DIDJERIDU MASTER -David Blanasi』(CD 1998 : Big Ban)
・『LES ABORIGENES Chantes & Danses de l'Australie du Nord』(CD 1979 : Arion)
・『MUSIC OF ABORIGINAL AUSTRALIA』(Cassette 1972 : Hibiscus)
・『SONGS OF BAMYILI -Traditional Aboriginal Music of Australia』(Cassette 1977 : Aboriginal Artists Agency)
・『TRADITIONAL ABORIGINAL MUSIC -Sounds from the Bush』(CD 1998 : ARC)
・『WORLD MUSIC GALA COLLECTION 100 世界民族音楽大集成 オセアニアの音楽II』(CD 年代不明 : King/Seven Seas)