現在チャールズダーウィン大学のYolŋu語のコースで教鞭をふるう林 靖典が個別(※.ご友人と同時にレッスンを受けることも可能です)に行うオンライン・レッスンがスタートします。まずは4週間のプログラムを受けることで北東アーネム・ランドの言語であるYolŋu語の基礎を身につけます。
より正確な舌のポジションや動かし方を知ってリアルな発音を身につけることで、あなたのMandapul(イダキ)の演奏も劇的に変化することでしょう。マンツーマンのレッスンなので彼らの文化や音楽についての四方山話、話の脱線を楽しみながら、この分野の最前線に立つプロ林 靖典の授業を受けることができます。
前半の2週間ではYolŋu Mathaの発音を母音と子音に分けて細かく説明し、確認し、身につけていただきます。後半は短い会話と現地のマウスサウンドを楽しみながら、緩急のある発音を練習することでYolŋu Matha独特のアタック感が強いながらも、決して無理のないなめらかな舌の動きを身体にしみこませます。
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1レッスン90分 x 4回 : 14,000yen |
・ | 予約はyachan53(a)hotmail.comまで (a)を@に変えて「お名前/メールアドレス」をメールして下さい |
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レッスンの日時は月/火/水/木 日本時間の18:00〜21:30
※. その他ご希望の時間帯があれば可能な限り調整いたしますのでお気軽にお問い合わせ下さい。 |
■林 靖典プロフィール

イケカツオ - Yolŋu語で Yarrwarri。まさにハードタングな魚名。 |
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今から約20年前、西アーネムランドはGunbalanyaを初めて訪問した際、現地のソ
ングマンとディジュリドゥ奏者から「Mako (ディジュリドゥ)を鳴らしたいのなら、ま
ずは言語を学びなさい」と当時は頭でも身体でも到底理解できない金言を渡される。
その言葉を盲目的に信じ、ノーザンテリトリー大学(現チャールズダーウィン大学)
Yolŋu文化と言語コースへ入学し、現在も師とするWaymamba Gaykamaŋuと Yiŋiya Guyulaに出会う。
肺から送り出される空気が声
帯、口蓋、鼻腔、歯茎、舌との一体的なコラボレーションによって起こる特定の発声を
軸にオーストラリア北部アボリジナル伝統音楽にアプローチする。話す言語が異なれ
ば、ディジュリドゥを通して鳴る音も必然的に違ってくるはず。Yolŋu語地域ではDavid Dharrapuy、Murrinh Patha語地域ではWilliam Parmbukをディジュリドゥの師とする。
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■Yolŋu Matha発音の基礎をしっかりと身に付ける4週間プログラム
■第1週
-Yolŋu Matha とは?
一口にヨルング語と言っても実は何十個もの氏族言語が集まった総称であり、Yolŋu Mathaは直訳すると「人の舌」という意味。どこかで見たこと、もしくは聞いたことのある氏族名の発音に触れる。
-母音と子音の発音。舌は口内のどこに触れてるの?
なぜYolŋuのディジュリドゥ演奏はハードタングといわれるのか。ビシバシと特定のポイントに舌を突っ込んだり、押しつけたり、鞭のように打ったり、Yolŋu語特有の子音と母音のコンビネーションを事細かに解説します。
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何気なくカタカナ発音しているヌルンボイ、イリカラ、ミリ
ンギンビ、マタマタ等の地名。Yolŋu発音ではかなり違います。
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■第2週
-Yolŋu Mathaで挨拶をしてみよう
日常会話をマスターするのは至極困難ですが、「元気?」とYolŋuから聞かれたときにいくつかの答えを準備しておくとマニマック。その頻繁に耳にする 「マニマック!」と聞こえてしまうあの言葉、話者は「二」と発音していないのに、日本人の僕たちにはなぜそう聞こえてしまうのか。
-ディジュリドゥやブングルに関わる単語の発音練習
日ごろ何気なく口にしているイダキ、ビルマ、ブングル等の言葉はイダキ好きであれば誰もが聞いたことのある言葉。イダキ名工の名前と併せてしっかりした発音を身に付けます。
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アラフーラ海に浮かぶエメラルドと称されたMiliŋinbi
島。Yolŋu 語の書記法が整った場所。
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■第3週
-マウスサウンド表記によく見る「 dith-dhu」の 「th」って何だろう?
有声音である「di」と「dhu」のつなぎ役?文字で考えるより舌で体感しましょう。
-日本語発音には無い3種類の発音で成り立つマウスサウンドに挑戦!
歯間音→巻き舌→反り舌音→レスト→歯間音→巻き舌→反り舌音→レスト
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Yolŋuのマウスサウンドで頻繁に聞く歯間音。口内の感覚はワインコルクがズポット抜ける感じ? |
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■第4週
-ソフトタングとハードタングの違いとは
日常的にYolŋuからあれこれ教わる中で彼らが言うソフトやハードが僕たち日本人が捉えるソフトやハードと大きな差があるようです。
-オールドマン Djinyiyinyi のマウスサウンドを真似してみよう
Richard Watermanによって半世紀も前に録音され、2015年に発表された Yirrkala Recordings 1952。当時彼によってプライベート録音されたDjinyiyinyiのマウスサウンドとイダキ演奏を聴きながら子音と母音を一つ一つ丁寧にピックアップしていきます。
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日本語発音のビルマでも英語発音のBilmaでもない、Bilma。 Yolŋu
の感覚によると、反り舌音は重たい舌で重たい音。
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今夜からMi**y Munuŋgurr氏作 Hard Tongue DidgeridooのCDブックカバーに書き起こされているマウスサウンドを見る目が変わるかも。
氏族の絵やソングラインと同様に言語も知的財産である為、この4週間のプログラムは
Gupapuyŋu 氏族の長老から許可を得、Gupapuyŋu ネイティブスピーカーの監視の下で行われて
います。よって、急なプログラム内容の変更がある場合があることを了承下さいませ。 |
■林 靖典よりひとこと
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言語を学び始める第一歩を踏み出すことはとてもハードルが高いかもしれません。けれど、学ぶ理由の一つがマウスサウンドやイダキ演奏スキルアップとなればモチベーションも上がります。学生時代、ダーウィンで知り合った海外のクラスメイトが日本の漫画を日本語で読みたくて日本語を猛勉強していた様に、コミュニケーション以外にも言語を学ぶ理由はあっても良いと思っています。実際、僕は今Wadeye (Port Keats)地域で広く話されているMurrinh Patha言語の勉強をしています。師として仰ぐWilliam Parmbukと彼の家族と彼らの言葉でコミュニケーションを取りたい気持と同じくらい、KenbiやLirrgaの演奏を上達させたい気持ちが根底にあります。
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マウスサウンドを歌うことでYidaki, Mako, Kenbi等のディジュリドゥという楽器が鳴っているという現地のプレイヤーもしくはソングマンからの助言を全身全霊で受け止め、日本語には無い発音=舌の動きを意識することでハードタング(Yolŋu Matha子音と母音のコンビネーション)な演奏に少しでも近づけるのではないかと強く信じています。 |
■受講者の声
舩本 将寛
(Masahiro Funamoto)
LYD |
今回、Yolŋu Mathaレッスンを受講させていただいて、基礎的な言語の仕組みを学ぶことができ、それらを活かしたアプローチでYidaki、Makoを鳴らすと普段感じていた違和感が少なくなり、楽器から返ってくる反応が格段に良くなりました。
当たり前の事かもしれませんが、Yidaki、Makoを鳴らすために適した発声方法があり、言語を学ぶことはそこに直結することを体感できました。
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大八木 一秀
Loop Roots |
イダキ(ディジュリドゥ)を演奏する難しさは、「譜面がなく口の中が見えないこと」に尽きる。この講座ではヨルングマタの「発音」を舌のポジションや部分的な動かし方をきちんと理解したうえで体験することができる。これは現地のプレイヤーが唄うマウスサウンドにより近づくことができるように思えるのだ。
伝統奏法を学ぶ自分にとって、「あの」音に近づく新たなアプローチを得ることができたように思う。
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小林 純也
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ディジュリドゥという楽器を知り、取り憑かれたように練習、練習、そんな暮らしも5年目に突入していました。募っていくのはYouTubeで観るYolŋuの演奏との圧倒的な差。そんな時にこの「ヨルング語講座」の存在を知り受講を決意。
母音・子音・舌の位置と使い方、それを単語の発声や日常会話をレッスンで体感し、毎回最後に繰り広げられる「マウスサウンド談義」でイダキ演奏に通じる道標もいただけるというあっという間の一時間半。
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Ryo
LYD |
何よりこの講座を受けた僕の一番大きな収穫は、イダキを演奏している時のYolŋuの口の中はどうなってるの?という疑問が僕の中で解決したことでした。
この講座は、この楽器をもう一歩踏み込んで学ぶ素晴らしいステップになりました。Yolŋu Mathaを日本語で学べるというのが、ほんとありがたい。これは世界的に見ても日本人の特権ですね!僕の中で小さな革命が起きたことは間違いないです。
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Tikina
Loop Roots
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実際にYidakiのマウスサウンドに直結するので目からウロコな情報盛り沢山でした。
Yolŋu表記の言語を追えば自然体で音色が変わるので音を出そう出そうとする時の肩の力を抜いてくれる。 これをYidaki奏者でもあり、現地を熟知した林氏から、しかも日本語で丁寧に教えてもらえるのは、またとない貴重な機会でした。
レッスンは録画した動画で振り返ることができるので、今後も生きた教材として重宝できます。
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Yasu
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「生まれ変わらないと無理だ。」ヨルングの演奏を見て聞いて、その奏法を学べば学ぶほど、この言葉にたどり着く。だけど、ディジュリドゥを息で吹くことから覚えると、この「吹く」癖がなかなか抜けない。頭でわかっていても体が吹いてしまう。
初回のレッスンで自分のイダキの音が変わったのがわかった。もう目から鱗がたくさん落ちるレッスンで、長年の疑問が解消できた。本当にやって良かった。全レッスンを終えた今、「生まれ変わらないと無理だ。」の状態から、「生まれ変らなくてもある程度はできそうだ。もっと学んで奏法を楽しもう。」という光が見えた。
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Yudji Maeda
Loop Roots
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以前、ノリ君が仕事でヨルングとyolŋu mathaで会話をし、夢をyolŋu mathaで見始めて、英語を忘れて来た…と言う話を聞いた時、ついに行く所までいっちゃったね!と思った(笑)。今回のこの講義は、ノリ君のアボリジニカルチャーへの愛とyidaki、makoへの情熱のお陰だと思ってます。
レッスンを受けてから、舌の明確ななポジションを理解でき、今まで?だったyidakiやmakoがどんな物でも、yolŋu mathaのお陰で、物を選ばなくなって来た気がします!
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