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SONGS FROM YARRABAH
SONGS FROM YARRABAH
NO AIAS-7
Artist/Collecter Alice M. Moyle(Recorder)
Media Type Cassette
Area 北部クイーンズランド州
Recorded Year 1970年
Label AIATSIS
Total Time
Price 廃盤
Related Works SONGS FROM NORTH QUEENSLAND

 

SIDE A :
1.
Cloud-covered Mountain
2.Nuts
3.Sider Web
4.Woodpecker
5.Alligator
6.Gupabara
7.Two Brothers
8.Boat
9.Starfish
10.Prowler from the North
11.Carpet Snake
12.Scrub Hen
13.Mud Cod
14.Feathers
15-28.Spoken Song Words

SIDE B :
29.
Spirit of Ghost
30.Mountain Spring
31-32.Spoken Song Words
33.Bark Canoe
34.Rainbow
35-36.Spoken Song Words
37.Cicatrice
38.Rainbow
39.Scrub Hen
40.Cyclone
41.Dindarr
42.Speech
43.Two Sisters
44.Aligator
45.Octopus
46.Spear-making
47-48.White Cockatoo
ケアンズの南にあるYarrabahの音源。この地域では現在伝統的にディジュリドゥが演奏されることはない。

■ライナーの翻訳

Alice M. Moyle博士によって録音されたクイーンズランド州のケアンズから南へ20kmにあるYarrabahコミュニティの音楽。『Songs from North Queensland』と対をなすような内容で、ディジュリドゥは収録されていない。現在は多数のディジュリドゥ・ショップが立ち並ぶケアンズだが、この地域では元々ディジュリドゥは伝統的に使用されていないようだ。『Songs from the Northern Terriotry』シリーズのライナーの共通事項で書かれている「Sound Instruments」の解説の一部に

    「クイーンズランド州北部でも19世紀後半に短期間だけディジュリドゥがみられたが、今やこの地域の[Island Style(Torres海峡の島々の人々からオーストラリア本土に伝わった音楽スタイル)]のダンスには欠かせない楽器となったスキン・ドラムの人気に競り合う事はできなかったようだ。」

とある。しかし北オーストラリアのアボリジナルの人々の音楽を考える時、北部クイーンズランド州、特にCape YorkとTorres海峡の島々の音楽は、使われる楽器、歌のメロディーともに非常に特徴的である。このYarrabahもその例にもれず、伝統的なこの地域のアボリジナルの歌とTorres海峡の島々の音楽に影響を受けた「Island Style」の2種類が収録されている。

下記はライナーの翻訳。各曲解説はこのカセットのジャケットには掲載されておらず、曲に関する詳細は不明である。曲ごとのレビューはここでは追加されていません。

■ライナーの翻訳
私は、1966年10月にケアンズにいる間中ずっと現地のショーをする場所でのアボリジニのダンスに足を運び、そこではケアンズから南に20km辺りにある居留区Yarrabahからの男性達を含むいくつかのグループがその踊りに参加していた。Yarrabahのグループは、そのおおやけのイベントについてのアナウンスによると「Traditional(伝統的な)」と「Torres Strait(トレス海峡)」という名前の二つの異なったスタイルでダンスを披露し、「伝統的なスタイル」で踊ったダンサー達は、自分達の身体をペイントし、アシと鳥の羽で作った軽いかぶりものを身に付けていた。彼等の音楽は、Hilary Harrisというたった一人の男によって演奏され、彼は歌う時に二つの小さなスティックを打ち付けながら歌っていた。「トレス海峡のスタイル」の曲は、スキン・ドラムの伴奏とともに、葉っぱのスカート、もしくは色のついた布をまとった男性達によって踊られた。

ケアンズのショーの場所での録音は好ましくなかったので、後で別の録音を手配しなければいけなかった。このカセットの歌と歌詞の朗読は1966年10月にYarrabahを2度訪問して録音され[A面トラック1〜28 / B面トラック1〜8]、残りは、P.C. Griffinによって1968年にYarrabahにて録音された[ B面トラック9〜21]。この録音の以前は、P.C. Griffinは、Palm島の最高責任者のアシスタント、Yarrabahの最高責任者を交代され、後にBamagaの北半島地域のマネージャーを経て、現在Wagga Waggaで弁護士を開業している。1968年初頭に、彼が収集した現地の神話や伝説に関してさらなる情報を得るためにYarrabahに戻る。

これら二種類の録音により、同じテーマについていくつかの例を比較することができる。特にHilary Harrisによって録音された「Scrub Hen(ヤブツカツクリ:オーストラリア東北部に住む鳥)」の2曲[A面トラック12 / B面トラック11]と、1曲目Dick Taylorで2曲目Hilary Harrisによる「Rainbow or Rainbow Snake」の2曲[B面のトラック6と10]には注意が払われている。スタイルは同じだが、二つの同じ歌詞のYarrabahソングのどの演奏も決してメロディや拍子が正確に同じではないということをこれらのサンプルを聞くとわかる。

まず第一に、ある歌の歌詞をボーカルが変わることの無い、ある部分で聞くことで異なるテーマの歌を区別することができる。このカセットでは1966年に録音された歌の歌詞だけが、歌とは別に歌詞を話している録音を収録しており、A面のトラック1-14の歌詞が15-28で、B面のトラック5-6の歌詞が7-8で話されている。トラック2では、トラック4で話されている全ての歌詞を歌われてはいない。

B面トラック14では、Yarrabahの歌い手達が、古い歌の歌詞、つまりそれらの歌が表現している物語と言葉を保存するためになされた試みについて、短い説明が収録されている。若い人達にとってそれらの歌の歌詞がより魅力的に感じれるように、Cape York半島北部やTorres海峡の島々の人々によく知られている音楽スタイル「Island Way」で歌の歌詞が歌われている。Griffinによって録音されたスピーチからのこの抜粋は、音楽学的興味を感じる特別な事例の一つである。同様の曲がB面のトラック13と15で聞くことができる。

様々な種類に渡る歌の主題は、MoyleとGriffinの両方の録音に見られ、その内のいつくかは明らかに古い世代の人々にとって非常に重要なものである。英雄や伝説の人物、精霊、幽霊、超自然的存在など[A面の6-7、11-12 / B面の17-18、20-21]、地理的特徴[A面のトラック1 / B面のトラック2と13]、天候[B面のトラック12]、人工物[B面のトラック5と9]、食べ物の採集[A面のトラック2]、歴史的出来事[A面のトラック8と10]、そして通過儀礼[B面のトラック9]についての歌がそれぞれ収録されている。

Alice M. Moyle